【シリーズ第3回】後悔してはいけないのか?

【シリーズ臨床心理士のつぶやき】

いよいよ入試直前

 遂に入試が迫ってきました。これまでの努力の成果を思う存分に発揮する機会なのは言うまでもありませんが、「結果」がその後の進路を左右するというまさに人生の岐路でもあります。試験直後、「たぶんいけたと思う」と思う子もいれば、「あそこをもっと勉強しとけばよかった・・・」と思う子もいるでしょう。

入試が終わったあと

 さて、試験の感想を聞く側としてはどちらの感想を聞きたいでしょうか?それはもちろん、前者ですよね。後者のような感想を言われたらつい、「なんでもっと勉強しとかなかったの!」と言いたくなるかもしれません。しかし、それは本人が一番分かっていることでしょう。一方で、「たぶんいけたと思う」と口にしている子どもの心境としては、「不安だからそう思いたい」という気持ちがあるかもしれません。なので、手放しに「よかったね!」と言うのも時期尚早です。どちらにせよ、まずは頑張ったことを労ってあげましょう。
 そして、好むと好まざるとに関わらず結果が出ます。子どもだけでなく親にとっても、まさに緊張の一瞬です。その結果が親も子どもも望んだものであれば、万々歳ですね。そうなることを切に願っていますが、時にそうではないこともあります。「早くからやっていればもっと上に行けたのに・・・」、「親としてもっとしてあげられたんじゃないか・・・」と、自責や後悔の念に苛まれることもあります。そんなとき、どうすればいいのでしょう?

子どもの気持ちに寄り添う

 私は、子どもの思い/親の思いのどちらも否定しないという姿勢が大切だと思います。確かに望んだ結果ではないと悔いが残りますし、何より辛く悲しいものです。それを過度に励ましたり無理にポジティブ思考になったりするよりも、まずは自分の感情に思い切り浸ることが大事だと思います。そして、「悔やんでいる自分」を「悪い自分」と思わずに、「そんな自分もいてもいい」、「次はこうしよう」と思えるまで、浸り続けます。そうすることで、本当の意味で現実を受け入れることができ、次の成長へと踏み出すことができると考えます。それは親も同じです。
 もちろん言うは易く行うは難しなので、人によって時間はかかることもありますし、しんどいでしょう。しかし、自分を受け入れ新たな行動に移るためには、必要なプロセスだと思います。後悔が無いに越したことはありませんが、もし後悔するのであればとことんし尽くしましょう。そこから這い上がることで、新たに挑戦することができると思います。

※この記事は過去の投稿に若干手直しを加えたものです。

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