ピグマリオン効果とは
アメリカの心理学者が次のような実験をしました。ある学校のクラスを、1つは成績上位者グループに、もう一方は成績下位者グループの2つに分けました。心理学者は上位グループを担任する教師に「彼らはのろまでろくでなしの集まりだ」と伝え、下位グループを担任する教師に「彼らは非常に優秀で素晴らしい生徒たちだ」と伝えます。そして数か月後2つのグループを比べると、上位グループの成績は下がり、下位グループの成績は上がったそうです。つまり、上位グループは大人から期待されずに教育を受け、下位グループは大人から期待されて教育を受けたことで、子どもの成長に差が出たという結果でした。これが、ピグマリオン効果と呼ばれるようになりました。
期待に応えたくて頑張る
これはあくまで実験ですし、この実験に対する批判や効果への疑問も確かにあります。しかし、周囲から全く期待されずに育つのと、期待されながら育つのとでは、子どもの育ち方に違いが出て当然とも言えるでしょう。「あの人の期待に応えたいから頑張る」というのは、子どもの成長意欲を駆り立てる原動力の1つとなり得ます。とはいえ、時に過剰な大人の期待が、子どものこころを押しつぶしてしまうこともあります。「あなたには期待している」ということばの裏に、「だから私の言う通りにしなさい」というメッセージが込められていると、残念ながらピグマリオン効果が発揮されることはありません。では、ピグマリオン効果を子育てに役立てるには、どのような伝え方が望ましいのでしょうか。
過剰な期待は禁物
まずは前提として、ピグマリオン効果を親「常にこころがけねばならないと思わないこと」が大切です。親も人間ですから、気持ちに余裕があるときもあればいっぱいいっぱいの時もあります。なので、自分の気持ちに余裕があるときだけ、こころがければいいと思います。加えて、「期待通りにいかなかったときに親ががっかりしすぎないこと」も大切です。でないと、子どもは親の顔色ばかりをうかがってしまい、自分で物事を考えて行動できなくなる恐れがあります。
安心感と信頼されている雰囲気で
では具体的にどうするかというと、子どもが自分から「何か手伝いたい」、「こんなことをやってみたい」と言ってきたとします。多くの場合、手間がかかるし親が自分でやったほうが速いとか、この子がやるにはまだ早い、と思うでしょう。でもそんなときに、「じゃあこれをお願いね」とか、「あなたならきっと大丈夫」と伝えます。子どもが「もう無理!」と言ったら、「手伝おうか?」と確認してから手伝います。もしやめると言えば、「じゃあまた今度ね」と伝えます。無理にやり遂げさせる必要はありません。ポイントは、子どもが安心感と信頼されている感覚を得られるような雰囲気で伝えてあげることです。だから、親が気持ちに余裕のあるときでないと難しいのです。ぼちぼちでOKです。
※この記事は過去の投稿に若干手直しを加えたものです。