新しい生活の始まりに不安はつきもの
新しい生活のスタートは、期待と共に不安も伴います。特に、年齢が低いうちはまだイメージする力が不十分なため、先の見通しが分からない場面で不安になりやすいのです。でも多くの場合、だんだんと「どうすればいいのか」が分かってくるにつれて、不安が軽減されていきます。これがいわゆる、「慣れ」「馴染む」ということだと思います。
ある程度年齢を重ねると自分の不安をことばにできるようになりますが、子どもにはそれがうまくできません。高校生ですら、自分の不安をうまくことばにできないことは多々あります。不安をことばにできない子どもは、他の言動あるいは何らかの身体症状で示すことがあります。例えば、すぐに怒る・泣く、汚いことばを使う、頭痛や腹痛を訴える、1人になるのを嫌がる、学校に行けないなど、今までと様子が違ってきます。
また、不安になる理由も子どもによって十人十色で、後々になって「そんなことだったの?」と、周囲の大人が拍子抜けすることもあります。でも、その時の子どもにとっては深刻なことなのです。では子どもがいつもと違う様子を見せたとき、どのように関わればいいのでしょうか。
不安になる理由や背景を想像する
まず大事なのは、親が理由を決めつけないことです。もちろん色々な可能性を聞いていくのは大切ですが、「どうせ○○なんでしょ」と頭ごなしに叱ったり、「○○しないと△△になるよ」と正論で追いつめたりしても、子どもの不安は解消されません。たとえ子どものためを思って言ったとしても、です。そして、色々やっても状況が変わらないと、親はだんだんイライラしてきます。
でも、そうなるのも無理ありません。なぜなら、親は他の誰よりも子どもといる時間が長いので、子どものことを一番よく知っている(と思いやすい)からです。だから、子どもの様子を見て、これまでの経験から妥当な可能性を探り、最適な対処法を考えます。それはごく自然なことでしょう。もちろんそれで上手くいくこともあるので悪いわけではありませんが、盲目的に「自分が子どものことを一番よく知っている」と思い込んでしまうと、子どもが本当にわかってほしいと思っていることに気づきにくくなります。ですから、子どもが見せる不安の背景に何があるのか、色々な要因を想像してみることが大切です。
子どもと風通しのよい関係を
色々やってみてもどうも上手くいかないときは、子どもが安心して話せる、もしくは安心して遊べる雰囲気づくりを心掛けるといいでしょう。これまでの経験から「どうせ親に言っても怒られる」と思っている子どもは、親に本当のことを中々話さないからです。特に思春期の子どもたちは、親よりも友人に話を聞いてもらいたい気持ちが強くなるため、親には言わず友人にだけ悩みを打ち明けることも珍しくありません。
普段から親とのコミュニケーションが取れている子どもは、話したことを怒られずに聞いてもらうだけで、不安は軽減します。すると、親があれこれ言わなくても自分の力で立ち直っていくこともあります。しかし中には、とても重い内容の場合もあります。そんなときは親や子ども1人で抱え込むのは精神衛生上よくないので、学校等にいるカウンセラーに相談するのも1つです。