9月の1週目は大学の指定校推薦の校内選考の結果が出る時期です。校内選考を通れば、この時点で98%ほどの確
率で大学合格が決まったことになります。ご存じかとは思いますが、もう一度簡単に指定校推薦について解説しま
す。
指定校推薦とは、各高校から主に評定平均を目安に大学に推薦する制度のことです。学校からの推薦であるため、高
校で悪いことをすると推薦はもらえなくなります。良く話に聞くのは校内で窃盗などです。
また、私立高校では一番上のコースなど指定校推薦がもらえないコースがあります。これは、勉強ができない下のコ
ースの子に指定校推薦を回して、上のコースの子達に自力で良い大学を受けさせるためです。もしも学力の高い層に
指定校推薦を回してしまうと、下コースの子達が良い大学に受かるわけがないので、必然的にその学校の進学実績は
下がってしまいます。
指定校推薦は各高校によって枠が違うため、一概に偏差値の高い学校に指定校推薦が来るというわけではありませ
ん。偏差値がそれほど高くない学校なのに指定校の枠は多いですとか、この大学の指定校の枠はこの高校には来ない
というのもありますが、それも年によって変わるので確実ではないです。ただし、傾向自体は引き継ぐため、指定校
推薦を狙いやすい高校というものも存在します。昨日、こちらの校舎の高3の2名が指定校推薦の校内選考を通過し
ましたが、そこはこの辺りの地域では有名な指定校推薦を取りやすい学校です。(名前は伏せます)
その学校で指定校推薦をとるために、わざわざ高校のランクを2つほど下げるという生徒もよくいます。ここは、高
校受験での偏差値が50に届かない学校ですが、指定校推薦の枠が強く、関西大学や近畿大学などの枠が結構な数あ
ります。今年も同じように来ていたのですが、その2人は評定平均4.3で関西大学、評定平均3.8で龍谷大学
にそれぞれ推薦をもらっています。高校受験の偏差値と評定平均から考えると、これはかなりお得な選択と言えま
す。
自分よりも高い評定の子が枠を取ると推薦はもえらえないので、ある程度運の要素も入ってくるのですが、そこには
情報戦も絡んできます。「〇組の〇さんが評定4.8で関西大学の商学部にだすらしいよ。」とか、「〇組の〇さん
は近畿大学出さないって周りに言ってるらしいけど、直前で出したよ。」とか、そういった噂が周りから入ってきま
す。さらに、担任の先生が「本当は言ったら絶対ダメなんだけど、今のところこの大学のこの学科に出す人はいない
からいけそうだよ。」とか教えてくれることもあります。このような情報戦に勝ち残った人が推薦枠を勝ち取るわけ
です。そういうどろどろした情報戦が嫌であれば、1年の1学期中間から評定を取っておきなさいということになり
ます。
9月の1週目に1回目の指定校争奪戦が終わるのですが、残った枠は2週目などに持ち越されます。それが終わると
枠をもらった人たちは、11月の本番の入試である面接や作文に向けて頑張ることになります。そこは出来レースの
ため、落ちることはほとんどありません。ただし、合格したからと言って油断はできません。指定校取り消しという
逆転パターンも存在します。
以下は実際に聞いたことのある取り消しパターンです。
「台風のため1時間目で休校になった日、寄り道せずに帰るように学校から指示が出たのに、帰りにマクドに寄っ
て喋っていたら見回りに来た学校の先生にばれて取り消し」
「指定校が決まり免許を取ったが、公道で何か違反をして事故を起こし書類送検され取り消し。」
「禁止されているアルバイトに入っているのが見つかり取り消し。」
ただし、このような事案も学校の先生によりけりです。同じケースでも学校の先生の裁量によって見逃されたという
話も聞きます。それでも「李下に冠を正さず」という言葉もあるように、余計な事は慎むのがいいでしょう。
そして、もう一つ大事なことですが、指定校推薦で受かる子は基本的に一般入試で受かる子達と比べて学力が低い傾
向にあります。そのため、入学してから大学の勉強についていけず、退学する割合も高くなるそうです。そのため、
大学側もそれを阻止するため、今は昔と違ってがっつりと課題を出す大学が増えています。また、指定校推薦の子達
だけ集めて先に講義をする大学もあるようです。
先に述べた関西大学でも、指定校で受かった子が課題が分からないと言って泣きついてきたことがあります。なんで
も、レポート形式の英語の課題が3つ出されたのですが、全て高いレベルの英語で書いてあるため全く意味が分から
なくて完成させようがないとかなんとか。手伝うにしても量が多すぎて、2,3日手伝って終わる量でもないため相
当大変でした。そのくらいのことを大学が求めているということを考えると、指定校推薦に受かったからと言ってう
かうかしていられません。最低英検2級を取るために勉強するくらいはやっておかないと、入ってから確実に痛い目
に遭います。
大学は自分の意志との闘いです。誘惑に負けてしまうと、必ず留年や退学、就職浪人となってしまいます。指定校推
薦が決まる今の時期にこそ、勉強する習慣を崩さないという強い意志を持ってください。それが自分の強みになりま
す。