大阪の高校生は、大学進学でどのくらい府外に出るの?

放出校


皆さんこんにちは。放出校の坂口です。
放出校の非常に成績の良いとある高校生とのお話の中で、こんな話題が上がりました。

「先生って大学から遠くに引っ越したんですよね?なんでですか?」

私の地元は福岡県で、大学進学のために京都へ引っ越し、一人暮らしを始めました。
高校生のAくんも実は府外の大学を意識したため、こんな質問をしてくれたのでした。

私は専ら、地元に入学したい大学がなかったためというありふれた理由でしたが、
大阪には魅力的な大学が多くあります。
また、交通網が発達しており、兵庫県や京都府の大学までも簡単に行けてしまえます。

そこで、Aくんと同じ立場の高校生が、下宿をしてまで敢えて遠くの大学へ進むことはあるのか。
また、下宿というものは大阪に住むAくんにとってはどんな意味合いがあるのか。気になって調べてみました。

1. まず知っておきたい現状 ― “地元進学率”ってどのくらい?

「大阪の高校生って、大学進学のときどのくらい府外に出るんだろう?」
そんな疑問、実は意外と多くの保護者の方も気にされているでしょう。

全国的に見ると、大学に進む高校生のうち地元(出身都道府県内)の大学に進む割合は約45%ほど。
つまり、残りの半分近くは「県外・府外」へ進学している計算になります。

では大阪はどうでしょう。
最新のデータ(2023年度)では、大阪府の高校生のうち約6割が府内の大学へ進学しており、
およそ4割が府外の大学へ進んでいるという結果が出ています。

つまり、

「大阪市に住む高校生が大学進学で府外に出る可能性は、おおよそ4割前後」
ということになります。

ただし、この数字はあくまで“平均値”。
実際には「どんな学部を目指すか」「国公立か私立か」「自宅から通いたいか」などで大きく変わってきます。


2. じゃあ、どうして府外に出るの? ― 主な理由を見てみよう

「せっかく大阪に大学がたくさんあるのに、なんでわざわざ府外に?」
そう思う方もいるかもしれません。
でも、府外進学にはそれぞれ納得できる理由がありました。


理由①:学びたいことが府内にはない

大学選びでいちばん大事なのは、「何を学びたいか」です。
たとえば医学部、獣医学部、国際系、情報工学、海洋学など――
専門性の高い学部は、そもそも府内にはなかったり、数が限られていたりします。

「この大学でしか学べない分野がある」
「研究設備が整っているのはあの地域の大学だ」

そんな理由で、府外を目指す生徒が少なくありません。
実際、“大学のブランド”や“教育環境”を重視する子ほど、全国レベルで大学を探す傾向があります。

同じ学部名でも大学によって設備や専門が異なります。
まずは自分は何をしたいのかをはっきりとさせ、
何を学ぶために大学へ行くのかを文字にしてみる必要がありますね!


理由②:一人暮らし・新しい生活に挑戦したい

「せっかくだから、親元を離れて暮らしてみたい」
――これも府外進学の大きな理由のひとつ。

大阪市から通える大学は多いですが、
「電車で1時間半もかかる」「満員電車がストレス」と感じる子もいます。

その結果↓

“通えるけどしんどい”より“離れてでも集中できる環境を選ぶ”
という判断をするケースもあります。

また、一人暮らしには「自立したい」「自分で生活を回してみたい」という前向きな気持ちが大きいです。
親御さんの中にも「そろそろ一人で生活を経験してほしい」という方は多いのではないでしょうか。

実は私にとっての県外進学の理由にこちらも少なからずございました。
不安よりも新生活のワクワクのほうが大きかったと記憶しています。


理由③:よりレベルの高い大学・学部を目指す

大阪府内にもたくさんの大学がありますが、「行きたい大学が府外にある」というケースも多いです。

たとえば、京都大学・神戸大学・名古屋大学・東京大学など。
「この学部ならこの大学!」というブランド志向や研究環境の魅力で、府外進学を選ぶ子もいます。

また、将来の就職を見据えて“全国区の大学”や“企業とのつながりが強い大学”を選ぶ傾向もみられました。
関西圏の高校生にとって「府外」といっても、京都や兵庫なら通える距離ですが、
東京や名古屋、福岡など、より遠くを目指す子も増えているようです。


理由④:経済的・生活面での判断

意外に見落とされがちですが、「経済面」「通学費」「住まい」も大きな要素です。
保護者にとっては無視できない大きな要素ですよね。

  • 通学定期が高くつくなら、下宿した方が安いこともある
  • 大学の近くに寮や学生マンションがあると生活が楽
  • 奨学金制度をうまく使えば、府外でも通いやすくなる

など、現実的な事情から府外を選ぶ家庭もあります。
一方で、「生活費がかかるから府内にしておこう」という判断も当然あります。
どちらにしても、“費用をどう考えるか”が進学先を決める大きなポイントになります。


理由⑤:新しい環境で自分を試したい

最後にもうひとつ。
「地元を離れて、自分を成長させたい」という気持ち。

高校までの環境から一歩出て、新しい人間関係や価値観に触れる。
自分の力で生活して、自分のペースで勉強して、知らない街で経験を積む。

こうした“挑戦心”や“自立心”も、府外進学の大きな動機です。
保護者の方の中にも、「大学生活を通して自立した人間として成長してほしい」と考える方が多いですよね。


3. 府外進学を考えるときのポイント

大阪市・大阪府の高校生が「府外も視野に入れようかな」と思ったら、次のステップが大切です。


■まずは府内・近畿圏の選択肢を確認

大阪には関西大学、関西学院大学、近畿大学、同志社大学など、全国的に見ても多彩な大学があります。
まずは「本当に府内に選択肢がないか」を調べてみましょう。
通学できる範囲で理想の大学が見つかることも多いです。


■府外に出るなら、“何を重視するか”をはっきりさせよう

府外進学を考えるときは、以下のようなことを整理しておくと失敗がありません。

  • 本当に学びたい学部・研究内容がそこにあるか
  • 通学・生活のしやすさ
  • 家計の負担(家賃・食費・交通費)
  • 将来の進路や就職の可能性
  • 本人の性格(地元を離れてもやっていけるタイプか)

このあたりを家族で話し合っておくと安心です。


■出ると決めたら、準備をしっかり

府外進学は準備も大事。

  • 学生寮・下宿・アパートの比較
  • オープンキャンパスで現地の雰囲気を体感
  • 奨学金・学費・生活費の見通しを立てる
  • 受験の交通・宿泊スケジュールも事前に確認

このあたりを高校2年生のうちから少しずつ動いておくとスムーズです。

私が福岡から初めて京都の大学のオープンキャンパスへ参加したのも高2の時でした。
オープンキャンパス参加者で話をする時間があったのですが、
意外なことに高3生のほうが少なく、高1生と高2生ばかりだった記憶があります。


4. 「出る・出ない」に正解はない

最後に個人的に思う、大切なことをひとつ。

府外進学が正解でも、府内進学が正解でもありません。
大切なのは、「その子に合っているかどうか」。

たとえば、
・地元に残る安心感や経済的メリットを重視する人もいれば、
・新しい環境に身を置いてチャレンジしたい人もいる。

どちらにも価値があります。
だからこそ、親子で「なぜその大学に行きたいのか」をしっかり話すことが大切ですね。

ただ私が自分の過去の経験から感じることは、
地元を離れて一人暮らしをしながら大学に通ったことは、とてもいい経験でした。
自分でご飯を作ったり、部屋の片付けをしたり、
家事をしなければならない状態に置かれたことで精神面でかなり自立できたと思います。

また、大げさな話かもしれませんが、主体的に自分の人生選択をできている感覚があり、
その後の就職のときも自分から主体的に動けたのは、この経験のおかげかなとも思います。


5. 塾としてできること

最後に、私たち塾の立場から言えば、「府外・府内どちらも選べる状態をつくる」ことが大事だと思います。

  • 志望学部を早めに整理し、受験科目を見据えた対策を始める
  • 府内・府外の大学情報をバランスよく提供する
  • 費用・生活・通学時間など“リアルな条件”も伝える
  • 実際に府外進学した先輩の話を共有する

こうした情報を早めに得ることで、「行ける大学」ではなく「行きたい大学」を選べるようになります。

高校生にとって大学選びは、人生の方向を決める大きな岐路。
創心館としても、生徒と保護者が納得して進学を選べるよう、これからもサポートしていきたいですね。


【まとめ】

ここまで色んな面から府外の大学へ進学することを記述してきましたが、一度おまとめいたします。

  • 大阪府の高校生の約4割ほどが、大学進学で府外へ進む
  • 理由は「学びたい学部がない」「一人暮らししたい」「大学のブランド」
    「経済・生活事情」「新しい環境への挑戦」など人によってさまざま
  • 府外進学にも府内進学にもメリットがあり、どちらが“正解”というわけではない

人生の中で貴重な経験になるので、私は大変おすすめします!

とにもかくにも、色んな人へ相談してみることからはじまります。
今回のAくんのように、身近な大人に相談してみることで想像していたものが現実味を帯びてきます。

おうちの人や学校の先生、そして塾の先生など、まずは相談してみて、情報を集めましょう!

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