はじめに
近畿大学の公募推薦の時期が今年もやってきました。
公募推薦対策のために、近畿大学の公募推薦の問題を過去15年ほど古い年度から解いてみましたが、ここ数年で問題の知識レベルが格段に跳ね上がっています。
昔はそれほどレベルの高くない学校であり、その評判通りの問題レベルでした。しかしながら、養殖マグロを筆頭に大胆な広報活動による人気急上昇と、数年前の私立大学定員大幅削減事件により合格が急激に難しくなっています。
問題レベルの難化もそれが原因かと思います。
ひと昔前までは近畿大学の英単語の対策として、システム英単語【駿台文庫】の1章・2章・3章+熟語コーナーの5章くらいの単語力で十分でした。
しかし、ここ2~3年の問題を分析すると、今まであまり必要とされなかった難しめの単語ばかりの第4章からも多数出ています。そのため、英単語はシステム英単語を1冊仕上げておかないと厳しいレベルとなっています。
それを前提として、各大問について考えます。
大問1【会話文】
会話文が2つあり、どちらも小問3つずつで合計12点です。
昔の公募推薦の問題は消去法を使わずに、スッと答えを選ぶことができる問題が多かったです。
しかし、近年は違います。前後の文章が訳し辛く、なかなか合う解答が選べません。絶対に違うものから消していくのですが、どんなに上手に日本語に訳しても、微妙なニュアンスが多く、自信をもって正答を選ぶことができません。
英語云々の問題ではなく、そもそも日本語の会話力がないと到底無理な問題が多いです。そのような場合、自信がなくなって傍線部から離れた部分まで訳していくことが多いですが、ここが落とし穴で、基本的には傍線部の前後のみで解けるようになっています。
そこを読んで選べなかったら、どちらにせよその問題は解けないので、消去法を使って絞った中から適当に答えを選んでください。入試はあくまでトータル戦法です。会話文は2~4点くらいの失点は許容するつもりでいってください。
大問2【単語の穴埋め】
短文に単語を6つ埋める問題で、12点分です。
この単元は会話文とは違っておとせないところです。なぜならば、品詞について理解していればわりと簡単に答えを選べるからです。
選択肢は8つあるのですが、穴埋めの()の前後を読むと、そこに入る品詞が名詞なのか動詞なのか形容詞なのかなど大まかに推測できます。
単語帳である程度品詞を覚えておけば、八択だった問題がこの時点で三択ほどに絞ることができます。
そこまでいけば訳を考えて適するものを選ぶだけです。英単語の接頭語、接尾辞について理解しておくと尚良いです。下記サイトを参考にして下さい。
大問3【文法】
全8問で16点です。ここも失点しない覚悟で臨んでください。ネクステとかヴィンテージを周回して、さらになんでも良いので仕上げに文法のテキストで演習をこなしておくと見たことあるような問題ばかりになります。
特に近大は無生物主語・倒置・shouldの省略・仮定法などが大好きですので、過去15年で何度も似たような問題が出ています。ここを2点ほどの失点に抑えることができているならば、受験勉強を真面目にやっているんだという指標にもなります。
ここができていない人は確実に勉強不足です。英単語と文法書を繰り返しやるしか点数を伸ばす方法はありません。
大問4【熟語】
あまり目にしない熟語の意味を単純に覚えているかどうか判断するための大問です。8点。
ここは意外と厄介で、シスタンで対応できないものもよく出ています。普通に受験勉強をこなしている人でも、知らない熟語が出てくるので心折れる場合があります。ですが、そのくらい難しいレベルと割り切って良いかと思います。ここも2点~4点ほどの失点は許容してあげてください。
大問5【単語】
簡単な英文を読んでその意味をもつ単語を選ぶだけの単純知識問題です。10点。
ここはちゃんと単語帳を覚えて点数を取ってください。それほど難しいものは過去出ていません。
大問6【整序】
並べ替え問題です。完答ではなく2点×8=16点。
日本語訳が載っているというのが非常にありがたいです。選択肢に過不足もないため、大問2の品詞の考え方が身についているならばほぼ全問解くことができると思います。ここでも仮定法や倒置、分詞構文など基本的な文法を押さえた問題が良く出ていますので、どの構造かということを頭に入れたうえで解くことが正答への近道です。
大問7【長文】
普通の長文です。3点×6問=18点と4点×2=8点。
近大の長文はとても親切です。第6問までは各パラグラフ毎の単問になっていて、合っているもの、間違っているものを選ぶ問題です。そして、最後の大問7で本文全体の内容に合うor合わないものを2つ選ぶだけです。
つまり、各段落毎に読んで問題を解いて、最後の問題に答えるだけなので、最初から本文全体を読むだとか、違う段落まで答えを探しにいくといった手間が一切かかりません。
もちろん微妙なニュアンスの違いなどがあるため、一筋縄でいかない問題もありますので、最初の6問のうち1問、第7問のうちの1つを外したとして7点の失点までは許容できます。
【結論】
上記のように考えると、許容しても良い失点が最大17点なので、83点ほどが確保できるかと思います。医薬情報を除いて理系は6割後半、文系は7割後半をとれば受かる可能性がかなり高くなりますので、失点しても良い場所を把握したうえで問題と向き合うのがいいでしょう。
もちろん、全部取ってほしい大問で失点したとしても、許容できる失点の大問で失点しなければトータルでは同じですので、許容範囲の失点を少しでも減らすことができるようにというのが最大の目標になるかと思います。
本番の問題はいつもより難しく感じます。自分だけが解けないと考えるのではなく、みんな難しく感じているのだから、ピンチな時ほど焦らずに英文を正確に訳すという心持ちで試験に臨んで下さい。