“金蘭会が変わる”の現場へ。教育と人の熱量を見に行ってきました

【リアルな学校口コミ】

前田先生との出会い

「金蘭会が変わる」──その言葉の熱を浴びて

先日、創心館に金蘭会中学高等学校の前田先生が来てくださいました。

広報をご担当されている先生なのですが、まず印象的だったのはそのエネルギーでした。
明るくて、元気で、話し方にも身振りにも、“学校が変わっていくこと”へのワクワク感が全身からにじみ出ていました。

「金蘭会が変わります」
「いや、金蘭会が変えていきます」

そんな言葉を力強く何度もおっしゃっていたのが、とても印象に残っています。
話しているうちに、気づけば私も一緒になって「それは面白いですね」と頷きながら、つい話しすぎてしまいました。

創心館の中も、掲示や教材、掲示物のレイアウトまでじっくりと見て回られていて、「これ、うちでも活かせるかもしれませんね」とつぶやく場面もありました。
目を皿のようにして塾内を見回しておられたその姿から、「変わっていこう」とする金蘭会の最前線に立っているんだという誇りと楽しさが伝わってきました。

お話の中でのひとこと。

「先生、ぜひ一度、金蘭会にいらっしゃってください」

その言葉が心に残って、「行ってみよう」と自然に思いました。
どんな学校なのか、自分の目で見てみたい──そう素直に感じた瞬間でした。

↓向かって右側が前田先生

学校に着いて、まず感じたこと

“あ、いい学校だな”と直感した瞬間

金蘭会中学高等学校は、梅田から歩いて15分の場所にあります。
JR福島駅からのアクセスがとてもよく、これなら毎日の通学も安心だろうなと感じました。 金蘭会を訪れるのは2回目だったのですが、相変わらず交差点のドン付きにどんと構えるように建っている校舎は存在感がありました。
8階建てというスケールも相まって、「あ、ここだな」とすぐに分かる、非常に目立つ建物でした。

正門をくぐると、案内してくださった先生方の対応が本当に丁寧で、そのやりとり一つひとつから、学校の空気感が伝わってきました。
「この丁寧さは、日々の生徒対応にも表れているんだろうな」と自然に思えるような、落ち着いた歓迎の空気がそこにありました。

施設や設備をどうこう語る前に、こうした“人の印象”で「いい学校だな」と思えるのは、実はとても大事なことだと私は思っています。
見た目だけではない、内側からにじみ出るあたたかさ。それが、金蘭会の良さを際立たせていました。

先生方のお話から

谷川学校長:「不易流行」──変わらないものと変える勇気

谷川学校長のお話は、金蘭会の成り立ちと、その根底にある「志」から始まりました。
明治38年の創立以来、「大手前高校の前身」としての歩みを持つ金蘭会が、有志の方々の熱意によって生まれたというエピソードには、教育に携わる者として思わず背筋が伸びました。

そんな120年の歴史を踏まえた上で語られたのが、「不易流行」という言葉。
変えてはいけない“教育の核”を守りつつ、時代に合わせて変化すべき“教育の形”にはしっかり向き合っていく──その姿勢が、金蘭会の今の改革に繋がっているのだと感じました。

例えば、生徒一人ひとりを丁寧に見るという「不易」の部分は、これまでも、そしてこれからも変わらず大切にされていく。
一方で、「流行」の部分としては、グローバル教育、協働的な学び、探究学習、ICTの活用といった新しい学び方に積極的に取り組んでいく。
それが今まさに動き出している「改革」なのだろうと思います。。

「全ては生徒たちのために」。
この言葉を“合言葉”として、教職員が一丸となって取り組んでいるという言葉に、学校としての覚悟を感じました。

控えめで穏やかな語り口ながら、金蘭会の軸がぶれることなく、力強く根を張っていることを感じさせるお話でした。

平川副理事長:100年後を見据えて、今どう生きるか

平川副理事長は、「時代が変わっている」こと、そして「これからもっと変わっていく」ことを、非常に生々しいリアリティを持って語られていました。

冒頭で紹介されたのは、アメリカの大学における“就職が厳しかった学部ランキング”でした。
1位はComputer Engineering(コンピュータ・エンジニアリング)、2位はCommercial Arts(商業アート)さらにはGraphic Design(グラフィックデザイン)やFine Art(ファインアート)と続き、いずれもAIに代替されつつある分野ばかり。
「え、まさかコンピュータ工学が…?」と会場がどよめくような内容で、ChatGPTをはじめとするAIが、いつの間にか人間の“仕事”を浸食してきているという現実を突きつけられました。

一方で、ランキングの最下位──つまり就職が良かったのは「看護」や「動物関係」の分野。
人と人とのふれあいや、感情が求められる仕事は、まだまだ人間でないと担えない。
だからこそ、これからは「コンピュータ×看護」「AI×動物学」といった、掛け算の時代になるという話に、深く頷かされました。

そしてさらに印象的だったのが、「寿命中位数」の話。
「2007年生まれの子どもの半分は107歳まで生きる」──そんなデータをもとに、今の中学1年生たちが、我々の想像をはるかに超えて長く生きていく時代にいることを語られました。
「100歳を超えて生きるなんて、きんさん・ぎんさんもびっくりですよ」と笑いを交えつつも、その奥には確かな危機感と、未来を生きる子どもたちへの強い責任意識がにじんでいました。

「この人は私たちが死んだあとの子どもたちの未来を本気で考えている」

平川副理事長のお話を聞いた後、そんなふうに感じました。教育という営みの本質が凝縮されていたように思います。

副校長・平野先生:日常の良さに目を向けるまなざし

平野先生のお話は、どこまでも等身大で、けれど確かな芯のあるものでした。
学校のよさというのは、派手さではなく、日々の空気や積み重ねの中にあるのだ──
そんなメッセージが、言葉の端々から静かに伝わってきました。

まず語られたのは、金蘭会の環境について。
JR福島駅から徒歩圏、梅田からも歩いて15分ほどという立地の良さに加えて、8階建ての校舎は街中でも一際目立ち、地域に根ざした存在感を放っているように思えました。
校内の施設もきれいに整えられ、先生方や生徒たちがそれを大切に使っている様子が目に浮かぶようでした。

通学圏も広く、西宮や枚方、八尾、さらには泉佐野など、関西一円から通っている生徒がいるとのこと。
「アクセスがいいんですよ」と明るくおっしゃっていましたが、それだけでは説明しきれない、学校への信頼感のようなものも感じ取れました。

そのあとに紹介された文化祭「蘭祭(らんさい)」の話が、とても印象的でした。
行事の動画を見せながら、「これはもちろんプロの方が編集されていますが、実際の生徒たちの姿をそのまま映しています。ぜひ一度、生で見てみてください」と。
動画だけでは伝えきれないリアルがある──
だからこそ、足を運んでほしい。そんな想いが込められていたように思います。

浮ついた言葉はなく、けれど確かな手触りのある講演でした。
生徒たちの過ごす日常や、そこで育まれる関係性。そうした“目には見えにくいけれど大切なもの”を、丁寧にすくい上げようとしている先生のまなざしが、とても印象に残りました。

副校長・阿部先生:「金蘭が変わる」「金蘭が変える」

阿部先生は、冒頭から明確な言葉を掲げられました。
「金蘭が変わる。金蘭が変える。──Change Kinran。」
このメッセージには、ただの変化ではなく、“自らが未来を切り拓いていくんだ”という強い意思が込められていました。

決して大改革をするという話ではありません。
これまで大切にしてきたものを守りながら、時代に即した教育の形を探っていく。
その姿勢は、とても誠実で、かつ前向きなものでした。 たとえば中学校では、今後「7つの学び」が軸になります。
生徒が自分に合った学び方を選べるようにしたいという発想には、これからの教育に求められる柔軟さがよく表れていました。
一斉授業だけでなく、選択制や探究型の学習も取り入れていく。そんな構想がすでに動き始めているようでした。

英語教育にも大きな力を入れていくとのこと。6年間を通じて海外研修や留学も視野に入れたプログラムを構築し、
“国際感覚を持った金蘭生”を育てていくとのお話でした。

大学見学ツアーもすでに導入されていて、東京大学や関西圏の有名大学を中学生のうちから訪れる機会があるそうです。
この取り組みは、「今の自分」ではなく「これからの自分」を描く視点を持たせる教育として、とても意義深いと感じました。

文化祭や行事も、高校生と中学生が一緒に創り上げる。
教職員と生徒が“学校づくり”の当事者として向き合っている姿が浮かびました。

さらに驚いたのは、部活動への取り組みです。
バレー部や新体操といった強化クラブに加え、吹奏楽部やダンス部など、文化系の活動にも専門講師を招くなどして、本格的な学びの場にしようとしているのだそうです。

「Kinran食プロジェクト」や「美を考える学び」など、金蘭会らしい取り組みも印象的でした。
ただの変化ではない、“金蘭らしい進化”を目指していることが、ひしひしと伝わってきました。

この新しいビジョンの中心には、「生徒が自ら未来を描けるように」という願いがあるのだと思います。
阿部先生の語る未来像は、どこか現実離れした夢物語ではなく、足元を見据えた上での、確かな一歩でした。

授業・生徒の様子

“学び”が動いている空気を感じた

授業見学をさせていただいて、まず感じたのは、教室に“動き”があったことです。
先生が黒板の前に立って話し、生徒がただ黙って聞く──そんな一方向の授業風景ではありませんでした。
問いかけ、対話、意見の共有。
空間のあちこちで“学び”が生まれ、それがじわじわと広がっていくような空気が、そこには確かに流れていました。

先生方の指導法にも、あれこれと工夫が凝らされていることが見てとれました。

創心館でも英単語を覚えさせるのに非常に苦労していますが、生徒たちがタブレットを手に嬉々として英単語に取り組んでいる姿には衝撃を受けました。

一つの教材に対して、どう切り込むか。どこで考えさせるか。どうやって手を動かさせるか。
「この子たちに、どう届くか」を真剣に考えている姿勢が伝わってきます。

そして、生徒たちの様子も印象的でした。
すれ違うときに交わした「こんにちは!」の挨拶が、なんとも清々しかった。
強制されたものではない、自然なあいさつ。
そこに、その子たちの日々が表れているように思えました。

教育の“表面”だけをなぞるのではなく、“根っこ”にまで届いている──
そんな感触を得た時間でした。
一つひとつの授業が、生徒たちの未来を静かに耕している。そんな学校の姿が、目の前にありました。

施設・校舎・部活動など

「一人ひとり」を形にする環境

見学を通して印象に残ったのは、「この学校は生徒の“輪郭”を、はっきりと立たせる場所なのだ」という感覚でした。

音楽室には、ずらりと並ぶピアノ。その奥にはお琴も。

ただ数が多いだけではありません。そこにあったのは、「ひとりひとりが主役になれる空間を用意したい」という意志でした。
誰かと比べるのではなく、自分の表現に向き合える時間。
その場の静けさの中に、そうしたメッセージが込められているように感じました。

体育館には、バレーボール部の歴代のトロフィーや表彰状がずらりと飾られていました。
勝ち負けの先にある努力や継続を讃える空気。
単なる実績の掲示ではなく、誇りを受け継いでいく文化がそこにはありました。

もちろん、運動部だけではありません。
文化部にも、吹奏楽、ダンス、家庭科、美術など、それぞれの分野に対して真剣に向き合う土壌があります。
なかでも印象的だったのは、専門の講師やプロとともに活動している部が多いとのこと。
「趣味の延長」では終わらせない。
学校として、生徒の“好き”に本気で応える姿勢が感じられました。

校舎のすみずみにまで、「一人ひとりの時間を大切にしたい」という想いが染み込んでいました。
これはきっと、数や制度では測れない、金蘭会の“空気”なのだと思います。

見学を終えて

「未来を信じて動いている人たちがいる」

校舎をあとにした帰り道、梅田の街がいつもより少し違って見えました。
きっとそれは、学校という場所の奥にある“人の熱意”を見たからだと思います。

先生方一人ひとりの言葉には、現状に甘んじることのない覚悟がありました。
「今をどう生きるか」ではなく、「未来をどう創っていくか」。
その問いと真っ向から向き合っている姿勢に、私は強く心を動かされました。

進学実績や取り組みの数々ももちろん大切ですが、
それ以上に、「この学校にいる大人たちが、本気で変わろうとしている」ことこそが、金蘭会のいちばんの魅力ではないでしょうか。

進路指導部長の栗林先生もおっしゃっていました。
“出口”──つまり大学合格やその先の進路──はしっかりと見据える。
昨今、指定校推薦などで楽に入試を終わらせる人が多い中、きちんと頑張らせたいという気持ちがにじみ出ており、金蘭会を支える足腰の強さを感じました。
金蘭会は入試のその“先”まで見据えた教育を目指しているのだと感じました。

変わることには勇気がいります。
でも、金蘭会はそれを、怖れずに引き受けている。
それも、先生方だけではありません。生徒も一緒に、学校そのものを創り変えていこうとしているのです。

私はこの日、単なる「学校見学」をしたのではありませんでした。
未来を信じて、今を積み重ねている人たちの姿を見たのだと思います。

そしてその姿に、背筋をのばしたくなるような清々しさを感じたのです。

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