塾で過ごしていると、毎日いろんなことが起こります。
テストの点数で一喜一憂する姿もあれば、友達と笑いながら帰っていく様子もある。大きなイベントではなくても、そのひとつひとつが教室の空気をつくっていくんだなと、よく思います。
先日、中学2年の子がふいに「先生、これ1つあげます」と渡してくれたのが、忍者めしの鉄の鎧。
私も生徒に言われるまでその存在をまったく知らなかったのですが、なかなか手に入らない人気のお菓子だそうです。鉄の鎧はグレープ味とマスカット味があるとのこと。
また、鉄の鎧というのもあるそうです。こちらはマスカット味のみらしいです。
パッケージのデザインも独特で、友達同士では「見つけたら即買い」と言われるくらいレアな存在だとか。

勉強を教えるのが塾の役割だけれど、こういう何気ないやりとりが関係を育てていくんだと改めて感じました。授業で「ここ大丈夫?」と確認するよりも、帰り際に小さなお菓子を手渡してくれるほうが、その子にとってはよっぽど“心の通じ合い”になっているのかもしれません。
食べながらふと思ったのは、塾という場所は「点数を上げるためだけの空間」ではなくていいんだということ。ここに来たら安心できる、ちょっとしたことを先生に渡せる、そんな空気があること自体が意味になるのだと。
忍者飯ひとつで、教室の空気が少し和らぎ、私自身もなんだか頑張ろうと思えた。
きっとこういう瞬間の積み重ねが、この仕事の一番のやりがいなんだと思います。
鉄の鎧――名前のわりに、ほんのり甘酸っぱくて噛みごたえのあるグミ。
その味よりも、手渡してくれた子の笑顔が、忘れられませんでした。