シリーズ第21回「口癖が脳に影響するの?」

【シリーズ臨床心理士のつぶやき】

「海賊王に、俺はなる!!」――この言葉、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。強い目標を言葉にし続けることで、その実現に向けた行動が自然と生まれていく。実はこれは、漫画の世界だけの話ではありません。私たちの日常でも、「口癖」は脳や行動に少なからず影響を与えていると考えられています。

言葉は脳への“指示”になる

人の脳は、自分が発した言葉をただ聞き流しているわけではありません。
「できない」「無理だ」「どうせダメだ」と言えば、脳はその言葉に沿った思考や行動を取りやすくなります。反対に、「やってみよう」「まだ伸びる」「次はできる」と言えば、前向きな行動を選びやすくなります。

これは、いわゆる“自己暗示”に近い働きです。言葉が意識に影響し、その意識が行動を変え、行動の積み重ねが結果につながっていくのです。

「集中」と言うだけで変わることもある

スポーツ選手が試合中に「集中!」と声をかける場面を見たことはありませんか。あれは気合いだけではなく、意識を一点に向けるための行動でもあります。

勉強でも同じです。
机に向かったときに「集中する」と口に出す。声に出しにくければ、ノートの端に「集中」と書くだけでも構いません。言葉によって意識が切り替わり、学習モードに入りやすくなることがあります。

同じ状況でも、言葉で見え方は変わる

たとえば、コップに半分水が入っているとします。

「もう半分しかない」と思うのか、

「まだ半分もある」と思うのか。

状況は同じでも、受け止め方は大きく変わります。
私たちは日々の出来事を、無意識のうちに言葉で意味づけしています。そして、その言葉が感情や行動に影響します。

テストで思うような点数が取れなかったときも、

「終わった…」→負の感情、後ろ向きな考え方なので、その後勉強に向かう可能性が低い

「次にやるべき材料が見つかった」→正の感情、前向きな考え方なので、その後勉強に向かいやすい

この違いが、その後の行動を分けることがあります。

勉強に活かすなら、こんな口癖を

受験勉強や定期テスト対策では、普段の口癖を少し変えるだけでも意味があります。

おすすめの口癖

  • 「まだ伸びる」
  • 「今日は昨日より前進する」
  • 「次はできる」
  • 「〇〇点上げる」
  • 「やれば変わる」

これらのプラスことばは頭の中で思うだけでもいいですが、おすすめなのは実際に口にしたり書き出して目にしたりするほうが、より効果的です。

反対に、

  • 「もう無理」
  • 「めんどくさい」
  • 「才能ない」
  • 「どうせ無駄」
  • もう駄目だ、おしまいだ…

こうしたマイナスことばが増えているときは、少し注意が必要です。自分で知らず知らずのうちにやる気を下げてしまっているので、この状態で勉強しても苦痛でしかありません。ですから、いったんこれらのマイナスことばが浮かんで来たら紙に書きだして、くしゃくしゃにしてゴミ箱に捨ててしまいましょう。そして代わりに、先にあげたプラスことばを書きだして貼っておきましょう。嘘みたいに思われるかもしれませんが、これだけで気分が変わることがあります。

もちろん、言葉だけで全て解決するわけではない

誤解してはいけないのは、口癖を変えるだけで成績が急上昇するわけではないということです。勉強時間、やり方、継続、休息――こうした土台は必要です。

ただ、その土台を支える“心の向き”を整える手段として、言葉には大きな力があります。
やる前から諦める言葉を使うより、前に進む言葉を使うほうが、結果的に努力を続けやすくなるのです。

最後に

毎日何気なく使っている言葉は、少しずつ自分自身をつくっています。
もし最近、「無理」「しんどい」「できない」が増えていると感じたら、今日からひとつだけ口癖を変えてみてください。

「まだいける」
「次はできる」
「ここから伸びる」

その一言が、未来の自分を動かし始めるきっかけになるかもしれません。

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