はじめに
高校受験は、中学3年間の学びの集大成であり、人生の次のステージを決める大きな選択です。
そのため「どの高校に進学するか」をめぐって、親と子の意見が食い違うことは珍しくありません。
- 親は「安全校」をすすめる
- 子は「挑戦校」に行きたい
どちらも“子どもの幸せ”を願ってのことなのに、対立のように感じてしまう――。
この記事では、創心館で多くの親子をサポートしてきた経験をもとに、
志望校をめぐる意見の違いをどう乗り越えるかを、丁寧に解説します。
なぜ親子の意見は食い違うのか?
・親の視点
親御さんが安全校をすすめるのは、ほとんどの場合「わが子を守りたい」という思いからです。
- 落ちたときに傷ついてほしくない
- 合格後の学校生活で無理をしてほしくない
- 将来の進学費用や通学環境を冷静に考えている
長く子どもを見守ってきた親だからこそ、“リスク”を想定しやすいのです。
・子どもの視点
一方で、子どもは「自分の力を試したい」という気持ちを強く抱きます。
- 「あの高校で部活を頑張りたい」
- 「憧れの先輩がいる」
- 「難しいけれど、合格したら自信になる」
“挑戦”は、成長の原動力でもあります。
📌 ポイント
意見の違いは「価値観の衝突」ではなく、立場と役割の違いから生まれるもの。
感情的にならないための第一歩
・タイミングを整える
志望校の話は、親も子も心がざわつきやすいテーマです。
話し合うときは次のような工夫を。
- テスト後や模試直後など、結果に左右されるタイミングは避ける
- 家事の合間ではなく、落ち着いて話せる時間を確保
- できれば週末の夕方や食後など、リラックスできる時間帯に
・事実と感情を分ける
「あなたのために言ってるのに!」と感情をぶつけると、子どもは防衛的になってしまいます。
- 模試の判定や内申点など、数字を根拠に話す
- 「〜すべき」ではなく「私はこう感じている」と主語を自分に
👉 例:「あなたの挑戦を応援したいけれど、今の判定だと合格の可能性は40%。一緒に作戦を考えようか?」
併願校を“橋”にする考え方
・「挑戦+安全」セットで考える
親の安心と子どもの挑戦心を両立するには、併願校を戦略的に選ぶのが効果的です。
- 第一志望:本気で挑戦したい学校
- 併願(私立):合格可能性が高く、魅力もある学校
- 公立安全校:万一のときに安心できる学校
👉 例:
第一志望=府立生野高校(偏差値58)
併願=私立近大附属(Super文理)
安全校=府立阿倍野高校
「どの選択肢になっても納得できる」構成にしておくことが、親子双方の安心につながります。
塾の先生を“第三の視点”に活用
・中立的な情報源としての役割
塾の先生は、データと現場の両方を知っている立場。
- 模試の判定や過去の合格実績から具体的な数値を提示
- 学力だけでなく性格や生活習慣も踏まえたアドバイス
- 入試制度や併願パターンの最新情報を共有
👉 創心館でも、親子面談で「受験の地図」を一緒に描くことで、対立が和らいだケースが多くあります。
・面談の上手な使い方
- 事前に「親の希望」「子の希望」をメモして持参
- 先生からも子どもの努力や適性について意見を聞く
- 面談後に親子で“ふり返り時間”をとる
子どもの「やりたい」を尊重する勇気
・成功体験は自信の源
挑戦校を目指し、努力を積み重ねた経験は、その後の人生で大きな財産になります。
- 合格したとき → 自信がつく
- たとえ届かなかったとしても → 目標に向かって努力したプロセスは必ず成長につながる
・親の役割は“安全ネット”
「もしダメでも大丈夫」という安心感を与えることが、挑戦の後押しになります。
👉 例:9月の五ツ木模試で志望校E判定スタートのSさん。
親が「全力で挑戦してみなさい。そのかわり安全校も受けよう」と伝え、
結果はB判定までアップ→合格!
話し合いの実践ステップ
- まずは子どもの思いを最後まで聞く
- 親の考えを「理由」と一緒に伝える
- 模試結果や内申など客観データを確認
- 併願プランを一緒に作る
- 塾の先生の意見も加え、最終判断へ
📌 ポイント
「勝ち負け」ではなく「最適解を探す対話」にすること。
ケース別アドバイス
・子どもが挑戦一択で譲らない場合🐓
→ 合格可能性の数字を見せ、必要な勉強量を具体化。
「あと何点必要か」を一緒に逆算。
・親が安全志向すぎる場合🐓
→ 学校見学に一緒に行き、環境やサポート体制を実際に見てもらう。
・模試の結果が上下して迷う場合🐓
→ 1回の結果に振り回されず、直近3回の平均偏差値で判断。
心のケアも忘れずに
・子どもの不安に寄り添う
- 「緊張してるんだね」と気持ちを言葉にしてあげる
- 結果だけでなく努力を認める
・親のストレス対策
- 同じ立場の保護者と話す
- 塾に相談して情報を整理
親も安心できると、子どもへの声かけが穏やかになります。
まとめ
志望校選びは、単なる“学力の線引き”ではなく、家族の未来を一緒に描くプロセスです。
- 親は「安全」を、子は「挑戦」を望む――どちらも正しい
- 併願を工夫すれば、安心と挑戦の両立が可能
- 塾の先生という“第三者”を活用することで、感情の対立を防げる
最後に大切なのは、
「どの選択になっても、この3人(親・子・先生)で決めた道だ」と思えること。
その経験こそが、入試の先にある高校生活や人生に向けた、最初の大きな一歩になります🌸