塾で見える姿がすべてではない
塾で生徒たちを見ていると、それぞれにいろいろな個性があります。
よく話してくれる子もいれば、静かに自分のやるべきことに向き合う子もいます。
当塾にも吹奏楽部に所属している生徒は数名いますが、今回あらためて強く感じるきっかけになったのは、新中学3年生のある生徒の姿でした。
教室の中で見えている姿だけが、その子のすべてではない。
先日、墨江丘中学校の吹奏楽部が主催する「うぇるかむコンサート」を見に行ったことで、そのことをあらためて実感しました。

そこには、普段塾で見ている姿とはまた違う、生徒の一面がありました。
塾で見ている、いつもの姿
その生徒は、普段からあまり言葉数が多いタイプではありません。
教室でも静かに席に向かい、自分の課題にコツコツ取り組む生徒です。
こちらから声をかければきちんと返してくれますし、取り組みも丁寧です。
でも、自分から大きく何かを語るというよりは、落ち着いて黙々と頑張る。そんな印象を持っていました。
塾では、どうしても勉強している場面を見る時間が中心になります。
授業中の様子や宿題への向き合い方、テスト前の頑張り方。そうした姿から、その子らしさを感じ取っていきます。
もちろん、それはその子の大切な一面です。
ただ、それだけでその子をわかったつもりになってはいけないのだと、今回の出来事であらためて感じました。
吹奏楽部のコンサートで見た、別の一面
先日見に行ったのは、墨江丘中学校の吹奏楽部による「うぇるかむコンサート」です。
コンサート会場でその生徒の姿を見たとき、まず感じたのは、演奏の迫力でした。
塾で見ている落ち着いた姿からは想像できないほど、しっかりと音に気持ちが乗っていて、表情にも集中が表れていました。
普段は静かに見える生徒でも、こうして自分の打ち込んでいる場では、まったく違う輝き方をするのだと感じました。
ただ座って勉強している姿を見ているだけでは、きっと気づけなかった一面です。
「吹奏楽部がすごい」という話は聞いていましたが、実際に目の前で見ると、その言葉以上のものがありました。
一人ひとりが真剣で、その中でしっかり役割を果たしている姿に、素直に感動しました。
教室で見ているときには静かで控えめに見える生徒が、こうして一つの舞台の中で力を発揮している。
そのこと自体が、とても印象に残りました。
塾に戻ってからのやり取り
後日、塾でその生徒に声をかけました。
「実はこの前、コンサートを見に行ったよ。すごく頑張っていたね。感動したよ」
すると、その生徒はまず驚いた様子でした。
見に来ていたことを知らなかったようで、「えっ」という表情を見せたあと、少し照れたように笑っていました。
その反応がまた、何ともその子らしくて印象に残っています。
大げさに喜ぶわけではないけれど、うれしそうにしているのがよく伝わってきました。
そのあとに、「ソロパートもあったのに見てほしかった」と言われました。
今回は残念ながら第1部しか見ることができず、その生徒のソロがある第2部まではいられなかったのですが、その一言を聞いて、申し訳ない気持ちと同時に、そんなふうに言ってくれたことがとてもうれしく感じられました。
きっとその子の中でも、塾の先生に自分の頑張っている姿を見てもらえたことが、少し特別なことだったのだと思います。
教室の外を知ると、関わり方は少し深くなる
塾の中で見える姿は、その子の大切な一面です。
でも、学校での様子や部活動での姿、友達と過ごす中で見せる表情まで含めて、その子なのだと思います。
教室の外で頑張っている姿を知ると、塾での関わり方も少し変わってきます。
いつもと同じように見えていた表情の奥に、別の努力や思いがあるのだと感じられるようになるからです。
静かに見える子にも、熱くなれる時間があります。
控えめに見える子にも、しっかり自分の役割を背負って頑張っている場があります。
そういう姿を知ると、日々の声かけ一つも、見守り方も、少しだけ深くなる気がします。
勉強だけを見ているのではなく、その子自身を見ようとする気持ちが、より自然に強くなるのかもしれません。
さいごに
子どもたちは、勉強だけを頑張っているわけではありません。
それぞれの場所で、それぞれの役割を持ちながら、日々一生懸命に過ごしています。
教室の中で見える姿は、その子の大切な一面です。
しかし、それがすべてではありません。学校での様子や部活動での姿、友達と過ごす中で見せる表情まで含めて、その子らしさがあると思っています。
今回、コンサートで塾生たちの姿を見て、そのことをあらためて感じました。
教室の中だけでは見えない頑張りがあり、その姿を知ることで、こちらの関わり方も少し深くなっていく。そんな機会になりました。
これからも、勉強のことだけでなく、その子らしさをできるだけ大切にしながら、一人ひとりと向き合っていきたいと思います。
