大阪府の公立高校入試が、令和10年度(2028年度)入試から大きく変わります。
2026年9月現在でいうと、現在の中学2年生が新しい入試制度で受験する最初の学年です。
大阪府教育委員会から新しい入試制度についての資料が公表され、具体的な仕組みもかなり明らかになってきました。
今回の変更は、単に「入試の日程が少し変わる」「問題の形式が変わる」といったものではありません。
特に大きな変更となるのが、
「学校特色枠」の導入
そして、
「公立高校の第2志望校に出願できる機会が設けられること」
です。
そのほかにも、英検などの英語資格の扱いや自己申告書、入試問題の構成など、現在の中学生にとって重要な変更がいくつもあります。
今回は、大阪府教育委員会が公表している資料をもとに、令和10年度から大阪府の公立高校入試がどのように変わるのかを、できるだけわかりやすく整理していきます。
- 令和10年度から大阪府公立高校入試の何が変わる?
- 変更点① 特別選抜と一般選抜が原則として一本化される
- 変更点② 新しく「学校特色枠」が導入される
- 変更点③ 公立高校の「第2志望校」に出願できるようになる
- 第2志望校を書けば「公立の滑り止め」になるわけではない
- 第2志望校のためにもう一度試験を受ける必要はありません
- 変更点④ 国語・数学・英語に「共通問題」が入る
- 変更点⑤ 英検などの英語資格による「得点保障」が下がる
- 変更点⑥ 自己申告書と「活動/行動の記録」が廃止される
- 内申点の計算方法はどうなる?
- 学力検査と内申点の比率も5タイプが継続
- エンパワメントスクールなどにも変更があります
- 新制度で大きく変わるのは「志望校の選び方」
- 現在の中学2年生は新制度の最初の受験生です
- 入試制度が変わっても「今やるべきこと」は変わらない
- まとめ|令和10年度から大阪府公立高校入試は大きく変わります
- 参考資料
令和10年度から大阪府公立高校入試の何が変わる?
まずは、大きな変更点を簡単に整理しておきます。
| 項目 | 現行制度 | 令和10年度以降 |
|---|---|---|
| 入試日程 | 特別選抜と一般選抜を別日程で実施 | 原則として一般選抜に一本化 |
| 学校特色枠 | なし | 新たに導入 |
| 公立第2志望校 | 原則として不可 | 出願できる機会を新設 |
| 自己申告書 | 提出 | 廃止 |
| 調査書の「活動/行動の記録」 | 記載あり | 廃止 |
| 国語・数学・英語 | A・B・C問題 | A・B・C問題それぞれに共通問題を設定 |
| 英検準1級・1級 | 100%読替え | 90%読替え |
| 英検2級 | 80%読替え | 70%読替え |
一方で、5教科の学力検査や、中学1年生から中学3年生までの内申点を使用する基本的な仕組みは残ります。
すべてが新しくなるわけではなく、これまでの大阪府公立高校入試をベースにしながら、各高校の特色と受験生の希望をより結びつける制度に変わる、と考えるとわかりやすいでしょう。
変更点① 特別選抜と一般選抜が原則として一本化される
現在の大阪府公立高校入試では、体育科や芸能文化科などを対象とした「特別選抜」が2月に行われ、その後、普通科などを対象とした「一般選抜」が3月に行われています。
令和10年度からは、現行の特別選抜と一般選抜などが原則として一本化され、多くの高校が3月上旬に一般選抜を実施する形になります。
一般選抜の学力検査等については、3月1日が基準日とされています。
大阪府はこの変更によって入試期間を短縮し、合格発表後から高校入学までの準備期間を確保することを目的の一つとしています。
ただし、すべての入試が3月に一本化されるわけではありません。
帰国生選抜、日本語指導が必要な生徒を対象とした選抜、自立支援選抜などについては、別途2月に実施されます。
変更点② 新しく「学校特色枠」が導入される
今回の入試改革で、特に注目しておきたいのが「学校特色枠」です。
令和10年度からの一般選抜では、合格者を決める手順が大きく2つに分かれます。
第1手順:学校特色枠による合格者の決定
第2手順:総合点による合格者の決定
まず学校特色枠に応募した生徒の中から、第1手順で合格者を決定します。
その後、第1手順で合格にならなかった生徒と、学校特色枠に応募していない生徒を対象に、これまでと同じように学力検査と調査書から算出した「総合点」を使って第2手順の合格者を決定します。
学校特色枠とは?
学校特色枠では、各高校がアドミッション・ポリシーを踏まえて、
「特に求める具体的な生徒像」
を示します。
たとえば、
「学科の特性」
「探究活動」
「地域貢献」
「文化的・体育的活動」
など、それぞれの高校や学科の特色に応じた枠が設定されます。
学校特色枠は、原則として募集人員の50%以下で設定されます。
また、通常の学力検査に加えて、学校によっては面接、作文、プレゼンテーションなど、それぞれの高校が設定した検査を受けることになります。
学校特色枠は全員が受けるの?
学校特色枠は希望者のみが応募します。
全員が応募しなければならないわけではありません。
また、一人の受験生が応募できる学校特色枠は1つです。
ここで大切なのは、
「学校特色枠に応募しない=その高校を受験できない」
ということではない点です。
学校特色枠に応募しなかった生徒についても、第2手順で通常の総合点による判定を受けることができます。
また、学校特色枠に応募したものの第1手順で合格にならなかった場合も、その時点で不合格になるわけではありません。
その後、第2手順の総合点による判定に進みます。
つまり、
学校特色枠で不合格=その高校が不合格
ではありません。
この点は、新しい制度を理解するうえで非常に重要です。
変更点③ 公立高校の「第2志望校」に出願できるようになる
こちらも非常に大きな変更です。
令和10年度から、一般選抜の全日制課程では、公立第1志望校に加えて、公立第2志望校にも出願できる機会が設けられます。
現在の大阪府公立高校入試では、基本的に公立高校は1校に絞って出願します。
そのため、
「本当はA高校に挑戦したいけれど、不合格になるのが怖いのでB高校に変更する」
というように、公立高校への進学を優先して志望校を下げるケースもあります。
新しい制度では、第1志望校とは別に、第2志望となる公立高校を設定できるようになります。
さらに、第2志望校の出願締切は、第1志望校の出願締切より後に設定される予定です。
第2志望校を書けば「公立の滑り止め」になるわけではない
ここは特に注意しておきたいところです。
第2志望校を書いておけば、
「第1志望に落ちても、必ず第2志望校で判定してもらえる」
という仕組みではありません。
第2志望者から合格者を決定するのは、その高校を第1志望としている受験生の数が募集人員に満たない場合です。
たとえば、募集人員240人の高校に、第1志望の受験生が240人以上いる場合、第1志望者で定員を満たすことになります。
この場合、第2志望者まで合格判定が回ってくるとは限りません。
そのため、
「第2志望校=私立高校の併願校と同じような滑り止め」
と考えるのは少し違います。
あくまで、第1志望者だけでは募集人員に満たない高校について、公立高校への進学機会を広げるための制度です。
第2志望校のためにもう一度試験を受ける必要はありません
第2志望校の判定を受けるために、別の日にもう一度入試を受けるわけではありません。
第1志望校で受験した、
国語・数学・英語の「共通問題」の得点
と、
中学校の調査書の評定
を使って、第2志望校の合格者が決定されます。
第2志望校への出願によって、新たな検査が行われることはありません。
変更点④ 国語・数学・英語に「共通問題」が入る
現在の大阪府公立高校入試では、国語・数学・英語について、高校ごとにA・B・Cの3種類の問題から使用する問題が決められています。
令和10年度以降も、A・B・Cの3種類があること自体は変わりません。
ただし、問題の構成が変わります。
A問題=基礎的問題+共通問題
B問題=標準的問題+共通問題
C問題=発展的問題+共通問題
という構成になります。
理科と社会については、これまでと同じく1種類です。
なぜ共通問題が必要なのかというと、第2志望校の判定に利用するためです。
第1志望校ではA問題を受けた生徒、B問題を受けた生徒、C問題を受けた生徒が混在します。
そこで、すべての受験生が解く「共通問題」の部分を使うことで、第2志望校での判定ができる仕組みになります。
変更点⑤ 英検などの英語資格による「得点保障」が下がる
英検を取得している受験生にとって、こちらも重要な変更です。
大阪府の公立高校入試では、英検など一定の英語資格を取得している場合、英語の学力検査で一定の得点が保障される仕組みがあります。
この制度自体がなくなるわけではありません。
ただし、令和10年度から読替え率が引き下げられます。
| 英検 | 現行制度 | 令和10年度以降 |
|---|---|---|
| 準1級・1級 | 100% | 90% |
| 2級 | 80% | 70% |
現在、英検2級を持っている場合は90点満点の80%、つまり72点に読み替えることができます。
令和10年度からは70%となるため、63点になります。
英検準1級・1級についても、現在の100%=90点から、90%=81点へ変更されます。
ただし、読替えによる点数と実際に受験した英語の学力検査の点数を比較して、高い方が英語の成績として採用される仕組みは残ります。
したがって、英検を取得する意味がなくなるわけではありません。
一方で、これまで以上に、
「英検2級を持っているから英語は大丈夫」ではなく、本番でもしっかり得点できる力をつけること
が重要になってくるでしょう。
変更点⑥ 自己申告書と「活動/行動の記録」が廃止される
現在の一般選抜では、受験生が自己申告書を提出しています。
令和10年度からは、これまで全員が提出していた自己申告書が廃止されます。
また、中学校から提出される調査書についても、「活動/行動の記録」が廃止され、原則として各教科の評定が記載される形になります。
ただし、
「部活動や中学校生活で頑張ったことがまったく評価されなくなる」
という意味ではありません。
新しく導入される学校特色枠では、高校が求める生徒像に応じて、面接や作文、プレゼンテーションなどを選抜資料として設定することができます。
これまで自己申告書などで見ていた部分を、学校特色枠などを通じて、より高校ごとの特色に合わせて評価する方向に変わると考えるとよいでしょう。
内申点の計算方法はどうなる?
入試制度が大きく変わるため、
「内申点も変わるのでは?」
と気になる方も多いと思います。
しかし、令和10年度以降も、中学1年生から中学3年生までの評定を使用する基本的な仕組みは続きます。
調査書の評定は、
| 学年 | 計算 |
|---|---|
| 中学1年 | 9教科×5段階×2倍 |
| 中学2年 | 9教科×5段階×2倍 |
| 中学3年 | 9教科×5段階×6倍 |
| 合計 | 450点 |
となります。
つまり、学年ごとの比率は、
中1:中2:中3=1:1:3
です。
中学3年生の成績が最も大きく評価されますが、中学1年生・中学2年生の成績もしっかり高校入試に使われます。
そのため、
「中3になってから頑張ればいい」
という考え方はおすすめできません。
中1・中2のうちから、定期テストや提出物、日々の授業を大切にしていくことは、新しい入試制度になっても変わりません。
学力検査と内申点の比率も5タイプが継続
一般選抜では、学力検査450点と調査書450点をそのまま足すのではなく、高校ごとに設定された倍率をかけて総合点を算出します。
令和10年度以降も、この仕組みは残ります。
| タイプ | 学力検査 | 調査書 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 1.4 | 0.6 |
| Ⅱ | 1.2 | 0.8 |
| Ⅲ | 1.0 | 1.0 |
| Ⅳ | 0.8 | 1.2 |
| Ⅴ | 0.6 | 1.4 |
つまり、高校によって、
当日の学力検査をより重視する高校
もあれば、
内申点をより重視する高校
もあります。
この点については、これまでの大阪府公立高校入試と大きく変わりません。
エンパワメントスクールなどにも変更があります
ここまで紹介した内容以外にも、令和10年度からはいくつか変更があります。
たとえば、エンパワメントスクールでは、学力検査の受験教科が国語・数学・英語の3教科となり、面接やエントリーシートを活用した選抜が行われます。
また、ステップスクールでは「学びたい意欲」と「得意」を活かした選抜が行われます。
定時制・通信制の課程についても、選抜方法が変更される予定です。
志望する高校・学科によって入試方法が異なりますので、該当する場合は必ず最新の募集要項を確認するようにしてください。
新制度で大きく変わるのは「志望校の選び方」
今回の改革を見ていて、私たちが特に重要だと考えているのが、志望校の選び方が変わることです。
これまでの高校選びでは、
「内申点がどれくらいあるか」
「実力テストで何点取れているか」
「五ツ木模試の偏差値がどれくらいか」
といった学力面を中心に志望校を考えることが多くありました。
もちろん、新しい入試制度でも学力が重要であることに変わりはありません。
しかし、令和10年度以降はそれだけではなく、
「その高校がどんな生徒を求めているのか」
「自分は学校特色枠の求める生徒像に合っているのか」
「学校特色枠に応募するのか」
「公立第2志望校をどこにするのか」
といったことまで考えながら志望校を決めていく必要があります。
これまで以上に、早い段階から高校について調べることが大切になってくるでしょう。
現在の中学2年生は新制度の最初の受験生です
2026年度現在の中学2年生は、令和10年度の新しい制度で大阪府公立高校入試を受験する最初の学年になります。
だからといって、今すぐ志望校を一つに決める必要はありません。
ただ、中学3年生の冬になって初めて高校を調べるのではなく、今のうちから高校説明会やオープンスクールなどに参加して、
「どんな高校なのか」
「どんな学科・コースがあるのか」
「その高校はどんな生徒を求めているのか」
「学校特色枠では何を評価するのか」
といったことを少しずつ確認しておくことをおすすめします。
大阪府では、令和10年度選抜における各高校の学校特色枠について、すでに学校ごとの内容を公表しています。
今後の高校選びでは、偏差値や進学実績だけではなく、この「学校特色枠」まで確認することが重要になってきそうです。
入試制度が変わっても「今やるべきこと」は変わらない
ここまで読むと、
「新しい制度に向けて、何か特別な勉強を始めないといけないの?」
と不安になる方もいるかもしれません。
しかし、大阪府教育委員会も、新しい入試に向けて特別な準備をするというより、これまでどおり中学校での学習やさまざまな活動に積極的に取り組むことを示しています。
入試制度が変わっても、
学校の授業をしっかり理解すること。
定期テストに向けて勉強すること。
中1・中2から内申点を積み重ねること。
苦手科目をそのままにしないこと。
こうした日々の積み重ねが大切であることに変わりはありません。
むしろ、学校特色枠など新しい選択肢が増えるからこそ、普段の学校生活や学習にしっかり取り組んでおくことが、将来の選択肢を広げることにつながります。
まとめ|令和10年度から大阪府公立高校入試は大きく変わります
令和10年度からの大阪府公立高校入試では、
・特別選抜と一般選抜の原則一本化
・学校特色枠の導入
・公立第2志望校への出願機会の新設
・国語・数学・英語への共通問題の導入
・英検などの英語資格の読替え率変更
・自己申告書と調査書の「活動/行動の記録」の廃止
など、大きな変更が行われます。
特に「学校特色枠」と「第2志望校」は、今後の志望校選びに大きく影響する制度です。
これからは単純に、
「自分の偏差値ならどの高校に行けるか」
だけでなく、
「自分がどんな高校生活を送りたいのか」
「その高校がどんな生徒を求めているのか」
まで考えながら高校を選ぶことが、これまで以上に重要になっていくと思います。
創心館でも、今後発表される最新情報を確認しながら、令和10年度からの新しい大阪府公立高校入試について随時お伝えしていきます。
現在の中学2年生・中学1年生の生徒、保護者の方で、
「新制度についてよくわからない」
「学校特色枠は応募した方がいいの?」
「今の成績ならどの高校を目指せる?」
「第2志望校はどう選べばいい?」
など、気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。
参考資料
本記事は、大阪府教育委員会が公表している「令和10年度以降の公立高等学校入学者選抜制度について」および「大阪府の公立高校入試が変わります」のリーフレットをもとに作成しています。制度の詳細については、今後変更・追加される可能性もありますので、実際の出願時には必ず大阪府教育委員会の最新情報をご確認ください。
