大学受験を控える高校3年生にとって、9月以降はいよいよ「どの大学を、どの入試方式で受験するのか」を具体的に決めていく時期です。
その中で、関西の私立大学を志望している受験生にぜひ知っておいてもらいたいのが、**学校推薦型選抜、いわゆる「公募推薦」**です。
近畿大学、龍谷大学、京都産業大学、摂南大学、追手門学院大学など、関西の多くの私立大学で11月から12月にかけて公募推薦が実施されます。
うまく活用すれば、年内に合格を確保したうえで一般選抜に挑戦することもできます。
一方で、
「推薦だから一般入試より簡単だろう」
「とりあえず受けておけばいい」
という考え方はおすすめできません。
公募推薦は大学によって試験科目や配点、調査書の扱い、英語資格の利用方法、併願制度などが大きく異なります。
今回は、2026年秋に実施される2027年度入試について、関西の主要大学の公募推薦を確認しながら、どのように受験戦略を考えればよいのかを解説します。
※この記事は2026年9月12日時点で各大学から公表されている情報をもとに作成しています。出願の際は必ず各大学の最新の入学試験要項をご確認ください。
そもそも「公募推薦」とは?
公募推薦は、大学が示す出願条件を満たし、高校からの推薦を受けることで出願できる学校推薦型選抜の一つです。
指定校推薦との大きな違いは、大学から高校に割り当てられた指定校枠がなくても、条件を満たせば出願できる大学が多いことです。
さらに関西の私立大学では、他大学との併願が認められている公募推薦も多くあります。
そのため、
「第一志望は一般選抜まで頑張りたい。でも、その前に一つ合格を取っておきたい」
という受験生にとっても非常に重要な入試です。
ただし、「公募推薦」という名称であっても制度は大学ごとに異なります。
学力試験中心の大学もあれば、調査書や資格、高校での活動などを含めて評価する大学もあります。
ここを理解せず、大学名だけを見て受験校を決めるのは非常にもったいないです。
2027年度・関西主要大学の公募推薦をチェック
まず、現時点で公表されている主要大学の情報を簡単に整理してみましょう。
| 大学 | 主な試験日 | 2027年度入試の主な特徴 |
|---|---|---|
| 近畿大学 | 11月21日・22日、12月5日・6日など | 公募併願制。原則2教科2科目。事前課題(小論文)の入力あり |
| 龍谷大学 | 11月23日・28日・29日 | 「総合評価型」。3日間受験可能 |
| 京都産業大学 | 11月21日・22日・23日 | 3日間実施。「情報プラス型」なども用意 |
| 追手門学院大学 | 前期11月18日・19日、後期12月12日 | 高得点科目重視方式など、得意科目を生かしやすい |
| 摂南大学 | 前期・後期を実施 | 総合評価型・基礎評価型、英語資格のみなし得点制度などを用意 |
日程を見るだけでも、11月中旬から12月上旬にかけて、複数の大学を組み合わせて受験できることが分かります。
だからこそ、公募推薦では「一校を受験する」という考え方よりも、どの日程で、どの大学を、どの方式で受験するかという組み合わせが重要になります。
近畿大学|最大4日間受験できる公募推薦
関西の受験生から特に人気が高い近畿大学では、2027年度も推薦入試(一般公募)が実施されます。
法学部・経営学部・建築学部・薬学部・情報学部などは11月21日・22日、経済学部・理工学部・総合社会学部・国際学部・農学部などは12月5日・6日に試験が設定されています。
医学部など一部を除けば、最大4日間の受験が可能です。
また、公募併願制のため他大学との併願も可能。多くの学部で2教科2科目による受験となっています。
注意しておきたいのが「事前課題」です。
出願時に、
「あなたの夢を実現するために近畿大学で取り組みたいこと」
というテーマについて、200字以上500字以内で入力する必要があります。
調査書や事前課題そのものを単純に点数化する方式ではありませんが、試験科目の得点とあわせて総合的に合否判定されます。
つまり、近大の公募推薦対策は「英語と国語だけ勉強していればいい」というものではありません。
出願準備まで含め、早めに動いておきたいところです。
龍谷大学|3日間受験できる「総合評価型」
龍谷大学の2027年度公募推薦入試は「総合評価型」として実施されます。
出願期間は11月1日から11月11日、試験日は、
11月23日・11月28日・11月29日
の3日間です。
合格発表は12月11日となっています。
文系型では英語・国語、理系型では英語・数学や理科などが使われ、大学独自の試験対策が必要になります。
さらに龍谷大学では、他大学併願者を対象とした入学手続の延納制度も用意されています。
公募推薦で龍谷大学の合格を確保したうえで、より上位の大学や国公立大学へ挑戦するという受験戦略も考えられます。
京都産業大学|11月21日~23日の3日間
京都産業大学の公募推薦入試は、
11月21日・22日・23日
の3日間で実施されます。
出願期間は11月1日から11月10日、合格発表は12月4日です。
京都産業大学の特徴の一つが、資格や高校在籍中の活動を評価する仕組みがあることです。
また、「情報Ⅰ」を活用する「情報プラス型」も設定されており、情報を得意としている受験生にとっては選択肢の一つになります。
「英語+国語だけ」という固定的な考え方ではなく、自分の得意科目やこれまでの実績を確認して、最も有利な方式を探してみましょう。
追手門学院大学|今年は「高得点科目重視方式」に注目
追手門学院大学では、公募制推薦入試前期が11月18日・19日、後期が12月12日に実施されます。
2027年度入試の注目点は、「高得点科目重視方式」が最大3出願まで可能になったことです。
2出願目・3出願目では別の学科・専攻も選択できるため、1回の受験結果を利用しながら合格の可能性を広げることができます。
また、学校の成績を生かす型、英語・国語を生かす型、英語・数学を生かす型、高得点科目を重点的に評価する方式など、得意分野によって受験方式を考えられる点も特徴です。
公募推薦では、こうした「方式の選び方」も立派な受験戦略です。
摂南大学|評定・資格を生かせる受験生にもチャンス
摂南大学の公募制推薦入試では、試験日に2科目の適性検査を受験します。
一方、判定方式には特徴があります。
「総合評価型」では適性検査だけではなく、高校の成績や高校時代の活動・取得資格なども評価対象になります。
対して「基礎評価型」では適性検査の得点を中心に判定し、英語資格を得点として利用できる「みなし得点制度」も用意されています。
つまり、
学校の評定が高い受験生。
英検などの資格を持っている受験生。
当日の学力試験に自信がある受験生。
それぞれが自分の強みを生かせる可能性があります。
公募推薦を考えるときには、「どこの大学なら受かりそうか」だけではなく、**「どの大学の判定方式なら自分の強みを最大限使えるか」**という視点を持ってほしいと思います。
公募推薦を「第一志望を諦める入試」にしない
ここが最も大切です。
公募推薦で合格すると、安心感が生まれます。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。
ただし、本来もっと上の大学を目指していた生徒が、11月や12月に一つ合格したことで勉強量を落としてしまうケースがあります。
これは非常にもったいないです。
公募推薦の大きなメリットは、
年内に一つ合格を確保することで、精神的に余裕を持って一般選抜へ挑戦できること
だと考えています。
たとえば近畿大学や龍谷大学を一般選抜でも志望しているのであれば、公募推薦の勉強は一般選抜につながります。
英語、国語、数学などの基礎学力を高め、過去問を分析し、時間内に正確に解く力を身につける。
これはそのまま1月・2月の一般選抜対策になります。
公募推薦と一般選抜を別々の受験と考えず、一つの長い受験計画としてつなげていくことが大切です。
9月から公募推薦に向けて何をすればいい?
現在、公募推薦まで残されている時間は決して長くありません。
しかし、まだ十分に対策できる時期でもあります。
今から受験生に取り組んでほしいのは、次の5点です。
- 志望大学の公募推薦の「試験科目・配点・判定方法・出願条件」を確認する
- 過去問を1年分解き、現時点でどの程度得点できるか確認する
- 英検などの資格、評定、調査書がどのように使われるか確認する
- 11月・12月の試験日を並べ、複数大学を含めた受験日程を組む
- 公募推薦終了後も一般選抜の勉強につながる学習計画を作る
特に重要なのが過去問です。
「まだ勉強が完成していないから過去問は後でやる」という生徒もいますが、公募推薦まで約2か月という時期では、まず一度解いてみることをおすすめします。
今の自分に何が足りないのかを知ったうえで残り期間の勉強内容を決めた方が、はるかに効率的だからです。
公募推薦は「情報を知っている受験生」が有利になる
大学入試は、単純に偏差値だけで決まるものではありません。
特に現在の私立大学入試では、
「同じ試験を使って複数回判定してもらえる」
「得意科目の配点を高くできる」
「英検のスコアを利用できる」
「調査書を生かせる」
「複数日程を受験できる」
といった制度が数多く用意されています。
同じ学力の受験生であっても、制度を理解して受験した生徒と、何となく一つの方式だけを受験した生徒では、最終的な合格可能性に差が出ることがあります。
だからこそ、この時期は勉強だけではなく、「入試制度を調べること」そのものも受験勉強の一部だと考えてほしいと思います。
2027年度入試も、いよいよここから本格的に動き始めます。
公募推薦でどの大学を受けるのか。
その大学を一般選抜でも受けるのか。
第一志望との組み合わせをどうするのか。
ぜひ早い段階で受験スケジュールを整理し、11月・12月、そしてその先の一般選抜まで見据えて準備を進めていきましょう。
※各大学の入試制度・出願資格・日程等は変更される可能性があります。実際に出願する際は、必ず各大学が公開する2027年度入学試験要項をご確認ください。
