2学期が始まりました。夏休みが終わり、普段の生活スタイルに戻ったのではないでしょうか。ところが、学校が始まるに伴い、これまで元気に過ごしていた子が突然体調を崩すことがあります。これまでにも、思春期のこころとからだについて何度か書いてきましたが、今回は特に体調不良について考えてみます。
思春期によく見られる身体症状
お腹が痛い、頭が痛い、食欲がない、体がだるい、起きられない・・・。思春期に限らず、子どもはこころに負荷がかかると体調不良を訴えることがあります。医師の診察を受けると、「特に異常はないので思春期特有のものでしょう」あるいは「ストレスでしょう」と言われがちです。「ストレス」と言われると原因がわかったような気になりますが、じゃあ何にストレスを感じているの?と聞かれると子どもは困ってしまいます。実は、何にストレスを感じているのかを言語化するのは、子どもにとって簡単なことではありません。「なんかもやもやする」、「頭がずーんとした感じ」、「からだが重い」などと答えるのがやっとかもしれません。我々はこのような症状を「身体症状」とも呼び、一般的な食べすぎによる腹痛や、風邪による頭痛などと区別して話を聴くことが多いのです。
頑張りすぎるとこころが休息を欲する?
多くの子どもたちは、頭では今何をしなければいけないかを分かっています。特に受験学年ともなると、勉強しなければいけないこと、他の子たちは勉強していることも分かるので、頑張ってやります。ところが、急に糸が切れたように、やろうと思ってもからだが言うことを聞かなくなります。これは、いわゆる真面目な子によく見られます。真面目な子ほど、大人の言う「正しいこと」を自分でも納得できるので、そこにストレスを感じることはほとんどありません。そうして「正しいこと」を続けていくうちに、ふと自分の中で芽生えてきた思いに対しても「これは正しくないからやめとこう」と、自分でラベルを貼りがちです。そうして、「頑張ることは正しい」、「頑張らないことは悪い」という二極化が起きてくると、頑張れない自分は悪いと思ってしまい、やがてつぶれます。そしてさらに不幸なことに、真面目な子ほど頑張れない自分を責めてしまう傾向にあります。
子どもは気持ちを言語化できるとは限らない
「じゃあそうなる前に言ってくれればいいのに」と、親は思うかもしれません。ところが、思春期の頑張る子どもはなかなか弱音を吐きません。また、せっかく頑張っているのに親から「頑張らなくていい」なんて言われると、怒ることさえあります。でも、この「怒る」という感情も、実は大切だったりします。真面目な子ほど、正当な怒りすら抑えてしまうことがあるからです。だからといって、むやみやたらに子どもを怒らせるのは逆効果です。子どもにもよりますが身体症状を訴える子の中には、自分の気持ちを言語化するのが苦手、自分がどう感じているのかすらうまく掴めない子がいます。つまり、なんらかのストレスが原因と言われても、自分の気持ちを掴みにくい子にとっては何が自分にとって負担に感じているのか、何を嫌だと感じているのかが自分でも分からないのです。そのような場合に、身体症状が現れることがあります。
からだとこころの両面からケアを
大事なことは、子ども自身が「正しいか悪いか」という二項対立的価値観に縛られず、自分の思いを大事にして自分のペースを取り戻すことだと思います。親にできることは、子どもの訴える症状を無下に扱わず通院などの適切な処置をしつつ、子ども自身のペースを尊重しながら普段の生活を支えることぐらいかもしれませんが、それで十分です。そのような親の対応が子どもにとって、「自分のことを信頼してくれている」という感覚となり、それが少しずつ溜まっていくイメージです(当の子ども本人はそんなこと感じていないかもしれませんが)。体調不良は本人にしかわからないしんどさです。だからこそ、その本人の感覚を自分も周りも大切に扱うことが、「正しいか悪いか」という二極化から脱する糸口のひとつになり得るかもしれません。
